九龍外界伝 其の十七

妄想が、私を支配していた。

なぜか空を飛ぶ妄想が止まらず、夜の街の上を自由に飛ぶ自分ばかりを思い浮かべる。

頭を振ってみても、まるで止む気配がない。

それどころか、力はどんどん強まり、私はとうとう自分がプロペラ飛行機なのか、なんだかわからなくなってしまった。