アニタ・ドール
- そんなこんなで舞台は龍津路へ移動。「対蛇老講」という明確な目的意識を持ったせいか、風水師のイメージはより一層いきいきとして来ました。特にハニー・レディの登場シーンにて。
「お、お姐さんここのナビ?いやあ、カッコいいねぇ。仕事忙しい?この一件が終わったら、二人で食事でもどう?」
仕事しろよオマエ(笑)。
- ともあれ、ここの街には、私が個人的に楽しみにしてる出会いがあるのでした。そう、アニタの登場です。
マニュアルで彼女が肉体的には男である事、声を速水 奨氏が演じる事などは事前にわかっていたので、一体どんな演技を見せてくれるのかと、心待ちにしていたのです。
「そこの映画館、もうとっくの昔につぶれちゃったのよ。」
これは……凄いや。「上手い」というより「凄い」というのが、とにかく第一の感想でした。
男性が女性口調を演じる時って大抵、女性のセクシャルな面を強調した、いわゆる「オネエ口調」になっちゃうような気がします。性差別的な発言になっちゃうかもしれないけど、それは男性から見たところの女性性っていうものが、セクシャルな部分が第一義的に考えられていることの表れではないかと、常々思ってました。
ところがアニタに関しては、それは禁欲的なまでに抑えられていて、前面に出ているのは女性のたおやかさ、やさしさ。「女っぽい」ではなく「女らしい」がふさわしく感じられる声でした。
- そんなわけで速水氏は、私の中では陰陽師の青野氏と並んで、クーロン出演者中No.1声優なのです。